本当にあった管理栄養士のお仕事の話2~厨房編~

雑記

新卒で管理栄養士として就職した病院でのお話し。どこかの世界で本当にあった話。

厨房編。外来編はこちら

入院患者さんのいる病院には病院食を提供するための厨房があります。

その道10年20年30年のベテラン女性9割以上の現場です。

私の所属する部署”栄養課”は厨房に隣接し、厨房の様子が見えるように窓で仕切られていました。
その窓を開けてoお互いにいつでも話しかけることが出来ます。

(以下広島の現場からです。)

がらがらがら(窓の開く音)
「ちょっと野菜の切り方間違えたんやけど、ええよなぁ?」

初めからOKの返事前提の問いかけ

私「え、何をどう間違えたんですか?」

「いや、ちょっと時間がないんよ、ええよなぁ?なぁ?!」

私「え、、た、たぶん・・・」

 

別の日、

がらがらがら・・・

「あっちに入れるはずだった調味料、こっちに入れてしもうたんじゃけど、どうしようか?!」

私「え、それは困りますね、、、どうしよう」

「時間がないんよ、早くして!」

え、、

(近くにいた先輩が対処・・・)

私「なぜ、間違えたんですか?」

「なんでって!人間なんじゃけ間違うこともあろうが!」

このとき私は、また同じ間違いが起きないように対策を考えたくて聞いただけで、責める意図はゼロ。ちょっと言葉が足りなかったことは反省。が、時すでに遅し、火がついてしまった彼女はヒートアップ

「なんであんたにそんなこと言われんにゃいけんのんじゃ」

「わたしら、ここで何十年もやってきとんよ、若いもんがえらそうに!あんたなんかに何が分かるんな!」

こうなってしまったら反論せず、鎮火するのを待つのみ。

 

献立作成も管理栄養士の業務のひとつ
基本的に1年前の献立を繰り返すサイクルメニューであったが
定期的に新メニューを考案するというミッションがあった

新メニューを考案するたびに

「誰な、このメニュー考えたの?!」

「こんなん出しても患者さん喜ばんじゃろ」

「あれは大変じゃけ、来年はもう無しにしてな」

「あれは本当の○○じゃない。本場は・・・・」

 

年に20回以上ある行事食(クリスマスメニューとか桃の節句とか)

ものによっては少し大変なメニューもある。節分の巻きずしとか3~4人で200本くらい巻く

がらがらがら・・・

「ちょっと時間がないけぇ、(厨房に)入ってきて手伝って!」バシャン!!(窓が閉まる音)

こちらの返事は聞かない。

初めてのメニューでなくてもトラブルは尽きない
月に1~2回登場する定番メニューでも

がらがらがら「これはこうでええんかなぁ!!?」(いつもと同じで良いのだけど・・・)

がらがらがら「ちょっとこれ食べてみて!調味料ちょっと足したんじゃけど!おいしいじゃろ?!」とか (塩分制限などあるので調味料は勝手に足してはいけません)

基本的には毎年繰り返しのサイクルメニューなのになぜかトラブルや混乱は日常茶飯事

むしろ平和な日がない

厨房は毎日毎時間、戦場です

とはいえ
厨房業務が大変なのは事実
毎食、提供時間は守らないといけない
入院患者数は常に変動(急性期病院だったので)
疾患によって特別メニューが必要な患者さんもいたり
アレルギーメニューへの対応もある
異物混入しないように細心の注意を払い
誤配膳がないように気を付けなければいけない
患者さんの反応が見えないのでやりがいを得にくい

こんな厨房と病棟と患者さんを繋ぐのが管理栄養士の仕事

今思えば毎日のおばちゃんたちとの攻防はなんだかんだ楽しかったなぁと懐かしく感じます。

彼女たちといかに上手くやっていくかは超重要な管理栄養士の仕事のひとつです。

 

つづく

外来編はこちら

コメント